レンタル品を壊した・なくしたとき:弁償金の算定・通常損耗・補償オプション

弁償の金額は、貸主が自由に決めるものではありません。通常損耗を借主に負わせず、算定の方法と上限を規約に書くことが出発点です。

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「購入価額の範囲内で貸主が相当と認める金額」は、上限があっても金額の決め方が白紙のままで、借主は負担を予測できません。

このページの要点

  • 借主は用法を守り、善良な管理者の注意で保管する(民法616条、594条1項、400条)が、通常の使用による損耗と経年変化は負わない(同法621条)。基準は写真付きの表で示す。
  • 弁償額は、修理できるときは修理費、修理できないとき・紛失のときは経過に応じて減じた物の価額、使えなかった期間の損失を別に、算定方法と上限を添えて書く(民法415条、416条、420条)。
  • 「貸主が定める金額」や「購入しなければならない」という書き方は、民法548条の2第2項や消費者契約法10条の問題になり得る。内訳と根拠の提示を規約に入れる。
  • 返却時の検品の手順と通知の期限を決める。用法違反による損害賠償は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求する必要がある(民法600条1項、622条)。

結論:通常損耗は借主に負わせず、弁償額は算定の方法と上限を規約に書く

物を貸す側を「貸主」、借りる側を「借主」、貸し出す物を「レンタル品」と呼びます。レンタル品が傷んで戻ってきた、なくなったという場面は、貸主にとっては損失の回収の問題で、借主にとっては、請求された金額が妥当なのかという問題です。どちらの立場でも、争点は同じ五つに集まります。借主の責任はどこから始まるのか。弁償の金額はどう決めるのか。「貸主が定める金額」という書き方は許されるのか。補償オプションは何をどこまでカバーするのか。返却のあと、いつまで傷の主張ができるのか。

先に結論をまとめます。第一に、借主は、レンタル品を契約と物の性質で定まった用法に従って使い、善良な管理者の注意をもって保管します。ただし、通常の使用によって生じた損耗と経年変化は、借主が負いません(民法621条)。第二に、弁償の金額は、修理できるかどうかで分け、修理費、物の価額、使えなかった期間の損失を、算定の方法と上限を添えて規約に書きます。第三に、貸主が自由に決める白紙の書き方は、避けます。第四に、補償オプションは、対象と対象外、自己負担額を、申込みの画面で示します。第五に、返却時の検品の手順と通知の期限を決め、損傷の主張には民法の期間制限があることを踏まえます。

全体の地図は個人向けレンタルの規約・契約書の全体像に、受取時の状態を確認する手順はレンタルの申込みから引渡しまでに載せています。

借主の義務と通常損耗:どこから借主の責任になるか

借主には、いくつかの義務があります。賃貸借の借主は、契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従って、物を使用し、収益しなければなりません(民法616条・594条1項)。返却するまでの間、特定の物を引き渡す債務を負う者として、契約その他の発生原因と取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存する義務もあります(400条)。レンタル品が故障した、あるいは修理が必要になったときは、遅滞なく貸主に通知する義務があります(615条)。

そのうえで、返却のときの責任を定めているのが、民法621条です。借主は、レンタル品を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負います。ただし、通常の使用及び収益によって生じた損耗と、経年変化は除かれます。さらに、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときも、この義務はありません。ここには、二つの意味があります。一つは、使えば傷むのは当然で、その分は賃料でまかなわれる、という考え方です。もう一つは、基準が「受け取った後に」生じたかどうかにあるため、受取時の状態を知ることが前提になる、という点です。

レンタル品の状態と、借主の責任の考え方

状態考え方規約に書くこと
使用に伴う細かな擦れ、軽い使用感通常の使用によって生じた損耗にあたることが多く、借主は負わない。基準となる状態を、写真付きの基準表で示す。「著しい劣化」の判断を貸主だけに委ねない。
取扱説明のとおりに使って生じた消耗通常の使用・経年変化にあたる。消耗品(電池、フィルターなど)の費用をどちらが負担するかを明記する。
落下、水濡れ、無理な力による破損通常の使用を超える損傷。借主に責めに帰すべき事由があれば、借主の責任になり得る。弁償金の算定方法と上限。補償オプションの対象かどうか。
付属品の欠品・紛失借主の責めに帰すべき事由があれば、借主の責任になり得る。付属品の一覧と、付属品ごとの弁償額の表。
禁止された改造・分解による故障用法に反した使用。禁止事項と、違反したときの扱い。又貸し・改造の禁止のページで説明する。
使用中の自然な故障借主の責めに帰することができない事由による。貸主が修繕する側に立つ(606条1項)。故障のときの連絡の手順と、代替品の手配、使えなかった期間の料金。

この表の中で、争いが多いのは、一行目と二行目です。「著しい劣化」「著しい汚損」の判断を貸主の判断に委ねる定めがあると、通常の擦れ傷にまで修理代が請求されることになりかねません。何が通常の損耗で、何がそれを超えるのかを、貸出品ごとの基準表と写真で示しておくと、検品のときの判断が両者にとって見える形になります。

弁償額の決め方:修理費、物の価額、使えなかった期間の損失

借主の責めに帰すべき事由でレンタル品が破損し、または紛失したとき、貸主は、債務不履行による損害賠償を請求できます(民法415条1項)。賠償の範囲は、これによって通常生ずべき損害で、特別の事情による損害は、当事者がその事情を予見すべきであったときに限られます(416条)。貸主に生じる損害は、場面によって三つに分けて考えられます。

一つ目は、修理で直る場合です。この場合の損害は、修理に要する費用です。修理費がレンタル品の価額を超えるときは、価額を限度とするのが自然な考え方です。二つ目は、修理できない場合と、紛失した場合です。この場合の損害は、レンタル品の価額です。価額を、新品を買うための取得代金で計算するのか、使った期間に応じて減じた額で計算するのかが、規約で最も揉める点です。新品の取得代金を全額請求すると、貸主は、古くなったレンタル品の代わりに新品を得ることになり、使用の年数に応じた価値の差を、借主が負担する形になります。経過した期間に応じた割合を減じる算定式を書いておくほうが、損害の実態に近い形になります。

三つ目は、修理の間、レンタル品を貸し出せなかったことによる損失です。修理や買い替えの期間中に貸し出せなかった日数分の損失を、請求する規約があります。立証の手間を避けるために、日額料金に修理に要した日数を乗じた額を賠償額の予定として定めることができます(420条1項)。ただし、日数に上限を置かないと、修理が長引くほど借主の負担が増えて、見通しが立たなくなります。上限の日数を設け、貸主の側の事情で長引いた日数は含めない、と書いておきます。

貸主の側に過失があったときの調整もあります。梱包が不十分だったために配送中に壊れた、取扱説明が足りなかったために誤った使い方をした、といった事情があるときは、裁判所は、債権者の過失を考慮して、損害賠償の責任とその額を定めます(418条)。規約に、これらの事情があるときは減額する旨を書いておく必要はありませんが、請求の前に貸主の側の事情も点検しておくことが、争いを減らします。

弁償金の算定内訳の例

  • 修理費○円見積書又は領収書の金額。修理費が物の価額を超えるときは、価額を限度とする。
  • 物の価額(修理不能・紛失のとき)○円購入価額から、引渡日から経過した期間に応じて別表の割合を減じた額。
  • 付属品の欠品○円付属品ごとの別表の額。
  • 修理期間中の貸出不能による損失○円日額料金に修理に要した日数を乗じた額。日数の上限を設ける。
  • 補償オプションによる減額△○円加入しているときは、自己負担額との差額を減じる。

請求する弁償金の合計○円

合計額には、レンタル品の購入価額を上限とします。請求のときは、この内訳を借主に示します。

貸主が価額の全部の支払を受けたときの効果にも触れておきます。債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物について当然に債権者に代位します(民法422条)。紛失したレンタル品の弁償金を全額受け取ったあとで、そのレンタル品が見つかったとき、誰のものになり、どう扱うのかを、規約で決めておくと、後の争いを避けられます。たとえば、借主の請求があれば引き渡す、あるいは、貸主が受領した弁償金を返金して引き取る、などの扱いが考えられます。

「貸主が定める金額」という白紙的な書き方の問題

弁償の条項でよく見かける書き方があります。「レンタル品を破損し、または紛失したときは、借主は、購入価額の範囲内で貸主が相当と認める金額を負担する」というものです。上限があるので、一見すると借主に配慮した書き方に見えます。しかし、この書き方には、問題が二つあります。

一つ目は、金額が、貸主の裁量で決まることです。借主は、申込みの時点で、壊したときにいくら負担するのかを予測できません。上限は最大値にすぎず、実際の損害が小さくても、貸主が上限の額を定めることができる構造になっています。定型約款では、相手方の義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。借主が消費者の場合は、民法などの任意規定の適用による場合に比べて消費者の義務を加重し、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項は、消費者契約法10条で無効になります。消費者契約の条項は、解釈に疑義が生じない明確で平易なものになるよう配慮することも、事業者の努力義務とされています(同法3条1項1号)。

二つ目は、損害賠償の原則とのずれです。民法の原則では、賠償されるのは現に生じた損害です(415条・416条)。修理で直る破損にも、使い古したレンタル品の紛失にも、新品の取得代金に近い額を一律に請求する定めは、現に生じた損害を超えるおそれがあります。賠償額の予定を置くこと自体は可能ですが(420条1項)、予定の額が、通常生じる損害から見て過大であれば、同じく10条の問題になります。

「破損したときは、借主はレンタル品を購入しなければならない」という書き方も同様です。購入を義務づけると、使い古しのレンタル品でも定価で買い取らせる構造になりやすく、損害賠償としての算定の過程が見えなくなります。損害賠償として組み立て直し、算定の方法を書きます。

書き方の例(一般的な例) 弁償の金額の決め方

弁償金の算定

よくある書き方「借主は、レンタル品を破損し、又は紛失したときは、購入価額の範囲内で貸主が相当と認める金額を負担する。」
整えた書き方「弁償金は、修理が可能なときは修理に要した費用(購入価額を限度とする。)とし、修理が不能なとき又は紛失したときは、購入価額から、引渡日から経過した期間に応じて別表に定める割合を減じた額とする。貸主は、請求にあたり、内訳及び算定の根拠を借主に示す。」

理由貸主が自由に決める余地をなくし、算定の方法と上限と明細の提示を書きます。借主は負担の見込みを持て、貸主は請求の根拠を示せます。

著しい劣化の判断

よくある書き方「返却時に、通常の使用を原因としない著しい劣化があると貸主が判断したときは、借主はレンタル品を購入しなければならない。」
整えた書き方「貸主は、返却されたレンタル品を、別表の基準及び引渡し時の写真と照らして検品する。通常の使用及び経年変化による損耗は、借主の負担としない。損傷があるときは、写真を添えて借主に通知する。」

理由「著しい」かどうかの判断を貸主の一方的な判断に委ねると、通常損耗まで借主の負担になりかねません。基準表と写真で、判断の過程を示す書き方にします。

規約例保管と弁償金

  1. 借主は、レンタル品を善良な管理者の注意をもって保管し、貸主が定める用法に従って使用する。
  2. 借主は、レンタル品を破損し、又は紛失(盗難を含む。以下同じ。)したときは、通常の使用及び収益によって生じた損耗及び経年変化によるとき並びに借主の責めに帰することができない事由によるときを除き、貸主に対し、次項に定める弁償金を支払う。盗難にあったときは、借主は、直ちに警察に届け出て、貸主に通知する。
  3. 弁償金の額は、次の各号のとおりとする。(1) 修理が可能なときは、修理に要した費用(購入価額を限度とする。)。(2) 修理が不能なとき又は紛失したときは、購入価額から、引渡日から経過した期間に応じて別表に定める割合を減じた額。(3) 付属品の欠品は、別表に定める額。
  4. 前項の弁償金の合計額は、レンタル品の購入価額を超えない。
  5. 貸主は、弁償金を請求するときは、各号の額の内訳及び算定の根拠を、借主に示す。
  6. 借主が補償オプションに加入しているときは、前各項に代えて、第○条の定めによる。

別表は、貸出品ごとの経過期間に応じた割合と、付属品ごとの額を示す表です。盗難のときの警察への届出は、借主の責めに帰することができない事由に当たるかを判断する資料になります。

紛失の扱いには、もう一つ決めておくことがあります。いつの時点で「紛失」として弁償の対象にするかです。置き忘れ、盗難、配送中の行方不明は、見つかる可能性がある状態から始まります。借主が紛失を申し出た日、または、探しても見つからないと借主が通知した日を基準にして、そこから一定の期間探しても見つからないときに紛失とみなす、という二段階にしておくと、見つかった場合の精算と、弁償金の請求の時点が、はっきりします。盗難は、警察への届出の番号を借主から貸主に通知してもらい、借主の保管の状況を確認する手がかりにします。返送の途中での行方不明は、返却の送り状と追跡の記録で、返却の完了の前か後かを見分けます。この見分けは、レンタルの延滞料の規約で説明した、返却完了の基準日の定めと直結します。

借主がレンタル品の故障や破損に気づいたときの行動も、規約に書いておきます。使用をやめること、状況を写真で記録すること、すみやかに貸主に連絡すること、貸主の指示なく修理業者に出したり自分で修理したりしないことです。借主が自分で修理すると、故障の原因が分からなくなり、通常の使用による故障なのか、借主の責めによる損傷なのかを見分けられなくなります。民法615条が、修繕が必要になったときは遅滞なく貸主に通知することを借主に求めているのも、貸主が原因を確かめ、適切な修繕をする機会を確保するためです。

確認の問い弁償の規約について、確認しておく問い

  1. 弁償金の額は、修理費、物の価額、付属品、使えなかった期間の損失に分けて、算定の方法を書いていますか。

    分けて書いていないと、「貸主が定める金額」と同じ白紙の書き方になります。

  2. 物の価額は、新品の取得代金ではなく、使った期間に応じて減じる算定式になっていますか。

    古くなったレンタル品の弁償に新品の価額を請求すると、現に生じた損害を超えるおそれがあります。

  3. 弁償金の合計額に、レンタル品の購入価額という上限を置いていますか。

    上限があると、借主は最大の負担を見込め、規約も明確になります。

  4. 通常損耗かどうかの判断基準を、基準表と写真で示していますか。

    「著しい劣化」の判断を貸主だけに委ねないためです。

  5. 請求のときに内訳と根拠を示す手続を、規約に書いていますか。

    借主が金額の根拠を確かめられる手続が、争いの予防になります。

補償オプション:対象、対象外、自己負担額を申込みの画面で示す

補償オプションは、借主が追加の料金を払うことで、レンタル品を破損したときの弁償の負担を、全部または一部、軽くする仕組みです。貸主が自らの請求権を免除する形で運営することが多く、保険会社の保険に加入して運営する場合は、保険の約款が別に定める条件が加わります。どちらの形でも、規約に書くべき事項は、同じです。

補償オプションの規約に書く項目

  • 補償の対象になる事由(偶発的な破損、水濡れ、紛失など)。
  • 補償の対象外になる事由(故意または重大な過失、改造・分解、禁止された使用、又貸し、付属品の欠品、連絡のない破損など)。
  • 借主の自己負担額(免責額)と、補償の上限。
  • 補償オプションの料金と、加入できる時期(申込みの時のみか、貸出中も可か)。
  • 補償を受けるための手続(連絡の期限、写真、盗難のときの警察への届出)。
  • 補償を受けた場合の、保証金や弁償金との関係。→ レンタルの保証金・デポジット

補償オプションの有無による負担の違い(規約の設計例)

場面補償に加入していないとき補償に加入しているとき
通常の使用による擦れ、傷み借主の負担にならない(民法621条)。同左。補償とは関係がない。
誤って落として壊した(過失)弁償金(修理費又は物の価額)。範囲内であれば、自己負担額のみ。
故意又は重大な過失による破損弁償金。対象外とするのが一般的。弁償金。
紛失弁償金(物の価額)。規約が対象としていれば自己負担額、対象外なら弁償金。
付属品の欠品別表の額。対象外とすることが多い。

補償オプションの説明で、注意したい点が二つあります。一つ目は、補償への加入を勧める説明が、通常の使用による損耗にまで及んでしまうことです。通常の使用で生じた損耗は、補償に入らなくても借主が負担しないのが、民法621条の原則です。「補償に入らないと、傷の修理代は全額負担になります」という説明は、この原則と食い違い、誤解を招きます。二つ目は、対象外を広げすぎることです。対象外が多すぎると、補償に入っているのに弁償金を請求される場面が増え、借主の期待と食い違います。対象と対象外は、申込みの画面で、一覧にして示します。補償の料金の表示は、レンタルの料金・日割・延長・送料の表示とあわせて設計します。

返却時の検品と、損傷の主張期間

弁償金の請求は、返却時の検品から始まります。検品の手順と、結果の通知の期限を決めておくことで、借主は精算がいつ終わるのかを見通せ、貸主は損傷の主張の根拠を整えられます。

返却から精算までの流れ

  1. 返却品の到着開封の様子と、到着時の状態を撮影する
  2. 検品別表の基準と、引渡し時の写真に照らして確認する
  3. 結果の通知到着後、定めた期限内に、損傷の有無を借主に通知する
  4. 異議の申出借主が内容に異議のあるとき、写真等を添えて申し出る
  5. 精算損傷がなければ保証金を返還。あれば、内訳を示して弁償金を精算する

保証金を預かっているときの返還の時期は、レンタルの保証金・デポジットで説明します。

損傷の主張には、民法上の期間制限があります。契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(民法600条1項)。この規定は、賃貸借にも準用されます(622条)。また、この損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は完成しません(600条2項)。ここでいう「契約の本旨に反する使用または収益」は、契約または物の性質で定まった用法に反する使用を指します。通常の使用による故障は、これにあたらず、貸主が修繕する側に立ちます(606条1項)。

この1年の期間制限が、紛失や、保管の不備による滅失・毀損にも及ぶのかは、条文の文言だけでは断定しにくい点です。条文と解説書で確認が必要です。そのため、規約では、損傷の種類を問わずに通用する、検品と精算の手続を中心に書いておくのが現実的です。検品の結果を通知する期限を決め、通知をもって精算を確定させる。検品で見つからなかった損傷が後から分かったときの扱い(たとえば、通知から一定の期間内に限り請求する、あるいは請求しない)を決めておく。こうした手続は、貸主が自ら請求の機会を区切る定めで、借主にとっては、返却後にいつまでも請求を受ける不安を取り除く効果があります。

同じ1年の期間制限は、又貸しや無断の改造のような用法違反の場合にも関係します。その場面はレンタル品の又貸し・第三者の使用・改造の禁止のページで扱い、期間制限の中身はこのページを参照する形にしています。

起きがちなこと:破損・紛失をめぐる場面

破損・紛失で起きがちなこと

場面傷が、借りる前からあったのか分からない

起きがちなこと引渡し時の状態の記録がなく、返却時の傷を、借主の責任とするか、貸主が受け入れるかで揉める。

規約で手当てすること引渡し時の写真と確認表、返却時の検品の写真を残し、基準表で通常損耗と損傷を分ける。

場面「貸主が定める金額」の請求書が届いた

起きがちなこと紛失の弁償として、購入価額に近い額が請求され、内訳も根拠も示されない。

規約で手当てすること修理費・物の価額・付属品の別に算定方法を書き、経過期間に応じた減額と上限、内訳の提示を定める。

場面通常の使用による擦れ傷に修理代を請求された

起きがちなこと「著しい劣化」の判断が貸主に委ねられており、通常損耗まで弁償金の対象にされる。

規約で手当てすること民法621条のとおり、通常の使用による損耗と経年変化を借主の負担としないことを明記し、基準を写真で示す。

場面補償オプションに入っていたが、対象外だと言われた

起きがちなこと対象外の事由が申込みの画面に示されておらず、借主は全額が補償されると思っていた。

規約で手当てすること対象事由、対象外、自己負担額を申込みの画面で一覧にして示し、手続の期限を明記する。

場面返却して数か月後に、損傷を指摘された

起きがちなこと検品の結果の通知期限がなく、いつまでも請求を受ける状態になる。

規約で手当てすること検品結果の通知期限と、通知による精算の確定、後から見つかった損傷の扱いを決める。損傷の主張に民法600条の期間制限があることを踏まえる。

個別の取引への当てはめは、貸し出す物の種類や契約の内容によって異なります。

よくあるご質問

レンタル品を壊したとき、弁償額は新品の購入価格になりますか?

当然にそうなるわけではありません。債務不履行による損害賠償の範囲は、通常生ずべき損害です(民法416条1項)。修理できるときは修理費、修理できないとき、または紛失したときは物の価額が基準で、使った期間に応じた評価を考慮する書き方もあります。購入価格の満額を一律に請求する定めは、現に生じた損害を超えるおそれがあり、借主が消費者の場合は消費者契約法10条の問題になり得ます。

通常の使用でついた傷にも、修理代を請求されますか?

通常の使用及び収益によって生じた損耗と、経年変化は、借主が原状に復する義務の対象から除かれています(民法621条)。したがって、通常の使用による擦れや使用感について、借主に修理代を負担させるのは、民法の原則と合いません。ただし、何が通常の使用の範囲かは、貸出品や使い方で異なるため、基準を写真や基準表で規約に示しておくことが大切です。

「貸主が定める金額を負担する」という規約は有効ですか?

上限があっても、金額を貸主の裁量で決める定めは、借主が負担を予測できず、問題になりやすい書き方です。定型約款では、相手方の義務を加重し、信義則に反して一方的に害する条項は、合意をしなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。借主が消費者の場合は、消費者契約法10条が働く可能性があります。算定の方法、上限、明細の提示を書く形に改めるのが安全です。

補償オプションに入れば、どんな破損も無料になりますか?

規約の定めによります。補償の対象になる事由、対象外の事由、自己負担額、上限は、補償オプションの規約で決められています。故意または重大な過失、改造や分解、付属品の欠品などは、対象外とされることが多い事項です。通常の使用による損耗は、補償に入っていなくても借主が負担しないのが原則です(民法621条)。

返却して時間が経ってから傷を指摘されました。払う必要はありますか?

契約の本旨に反する使用または収益によって生じた損害の賠償は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならず(民法600条1項、622条)、この期間を過ぎた請求は認められません。紛失などにも同じ期間制限が及ぶかは、条文の文言だけでは断定できず、条文と解説書での確認が必要です。規約に検品結果の通知期限と、通知による精算の確定が書かれているかも、確かめる点です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、貸し出す物の種類、契約の内容、借りる方が消費者か事業者かによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 国民生活センター / 個人情報保護委員会

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