このページの要点
- データが残る貸出品は、返却前の消去とサインアウトを借主の義務にし、貸主が初期化する二段にする。アカウントの紐づけが残る場合の扱いも決める。
- 返却後に残ったデータは、初期化に必要な範囲を超えて閲覧・利用しないことを原則にし、例外の場面と同意の取り方を先に決める(個人情報保護法17条、18条)。
- 位置情報は、目的を紛失・盗難・延滞に備える範囲に絞り、貸出期間内に限り、返却で停止する。申込みの前に目的と期間を示す(同法17条、21条)。
- 申込み記録・本人確認書類・位置情報は、項目ごとに目的と保管期間を決め、不要になったら消去する(同法22条)。免責は消費者契約法8条の枠で書く。
結論:返却品のデータは、消す責任、見てよい範囲、位置情報を取る目的を分けて書く
このガイドでは、物を貸す側を「貸主」、借りる側を「借主」、貸す物を「貸出品」と呼びます。スマートフォン、タブレット、パソコン、カメラ、ゲーム機、見守りカメラのように、使っているうちにデータが貯まる貸出品は、返却された時点で、借主の写真、連絡先、アカウント情報、閲覧の履歴といった個人の情報が残っていることがあります。また、紛失や延滞に備えて、貸出品に位置を知らせる装置を付けて貸す事業も増えています。
この二つは、どちらも個人情報の取扱いの問題ですが、規約で決める内容は違います。
- 返却品に残るデータ:借主が自分で消すのか、貸主が初期化するのか。消しそびれたときはどうなるのか。貸主が残っていたデータを見てよいのか。
- 位置情報:何のために、いつの間だけ位置を取るのか。借主に事前にどう知らせるのか。取った記録をいつまで持つのか。
- 貸主側が保管する情報:申込みの記録、本人確認書類の写し、利用履歴を、いつまで、どう守るのか。
個人情報保護法は、個人情報データベース等(申込みの管理システムや顧客台帳のように、特定の個人情報を検索できるように整理した集合物)を事業の用に供している者を、個人情報取扱事業者として規律します(個人情報保護法16条2項)。借主の申込みを台帳やシステムで管理している貸主は、事業の規模にかかわらず、通常これに当たります。このページは、貸出品に残るデータと位置情報に絞って、規約に書く内容を整理します。申込みの段階での本人確認の方法はレンタルの申込みから引渡しまでで、貸出品が原因の事故はレンタル品が原因の事故・第三者への損害で扱います。個人情報保護法の個別の要件については、条文と個人情報保護委員会が公表している資料で確認が必要です。
どんな貸出品に、どんなデータが残るか:貸出品の種類ごとに、規約で決める点が違う
データが残る貸出品は、保存する場所によって、消し方も、消し忘れの影響も違います。端末の本体に残るもの、取り外せる記録媒体に残るもの、クラウド上のアカウントに紐づくものを、分けて考えます。
貸出品の例と、残りやすいデータ、規約で決めること
| 貸出品の例 | 残りやすいデータ | 規約で決めること |
|---|---|---|
| スマートフォン・タブレット・パソコン | 写真、連絡先、メッセージ、閲覧履歴、保存したパスワード、アカウントの紐づけ | 返却前のデータ消去とアカウントのログアウトを借主が行う。貸主が初期化する。初期化できない状態(画面ロック、アカウントの紐づけ)で返却されたときの扱い |
| カメラ・ビデオカメラ・ドライブレコーダー | 撮影した画像・映像、位置の記録、無線接続の設定 | 記録媒体を借主が抜いて持ち帰るか、貸主が消去するか。抜き忘れた媒体の保管期間と廃棄 |
| ゲーム機・携帯型の機器 | アカウント、購入履歴、保存データ、フレンドの情報 | アカウントの登録や課金を借主が行ってよいか。返却時の初期化の手順 |
| 見守りカメラ・スマートスピーカーなど常時接続の機器 | 映像、音声、利用ログ、接続先の設定 | 借主以外の人(家族や来客)が映る・録音される場合の注意。返却時の初期化と、貸主の側のクラウド上の記録の扱い |
| ウェアラブルの機器・身に着ける機器 | 心拍・歩数などの記録、位置、アカウントの紐づけ | 記録の消去を誰が行うか。身体に関する情報は、貸主が原則として閲覧しないこと |
上の表のうち、健康に関わる記録を扱う貸出品は、貸出品の効果や安全性の判断とは別に、記録そのものの取扱いに慎重さが要ります。このガイドでは貸出品の効能は扱いません。扱うのは、記録の消去、閲覧、保管という、データの取扱いのルールです。
返却前の消去と、貸主の初期化:誰が、いつ、何をするかを順に決める
データの消去を「借主が行う」とだけ書いても、現実には消しそびれが起きます。逆に、貸主がすべて引き受ける形にすると、貸主が借主のデータに触れる機会が増え、取扱いの責任も重くなります。実際の規約では、役割を二段に分けて書くのが一般的です。
- 借主の義務:返却までに、自分のデータを消去し、アカウントのログアウトと紐づけの解除を行う。貸主は手順を取扱説明に示す。
- 貸主の確認と初期化:返却された貸出品を、貸主が初期化する。初期化によって、借主が消し忘れたデータも消える旨を、規約に書く。
- 消去できなかったとき:画面ロックやアカウントの紐づけで初期化できないとき、貸主は借主に連絡し、解除を求める。解除に応じないときの扱い(保管、追加の費用、貸出品の返却扱いにしないこと)を書く。
注意したいのは、アカウントの紐づけが残っている貸出品です。紐づけが残っていると、貸主が初期化できず、次の借主に貸せない、という実害が出ます。紐づけの解除を返却の要件にするか、返却後に貸主が解除を求めたときの連絡の期限と費用の扱いを決めておきます。
規約例返却時のデータ消去と初期化(個人向けの例)
- この規約において、貸出品を貸す者を「貸主」、借りる者を「借主」、貸し出す物を「貸出品」といいます。借主は、貸出品を返却するまでに、貸出品に保存した自己のデータを消去し、貸出品にサインインしたアカウントからサインアウトして、貸出品とアカウントの紐づけを解除しなければなりません。
- 貸主は、返却された貸出品を初期化します。借主は、初期化により、貸出品に残っていたデータが消去されることに同意します。
- 貸主は、初期化の作業のために必要な範囲を超えて、貸出品に残っていたデータを閲覧し、複製し、または第三者に提供しません。
- 貸出品にアカウントの紐づけが残っているなどの理由で、貸主が初期化できないときは、貸主は、借主に対し、相当の期間を定めて紐づけの解除を求めることができます。借主がその期間内に解除しないときは、貸主は、貸出品を返却されたものとして扱わず、借主に生じる費用を請求することができます。
第3項は、貸主が返却後のデータを見ないという約束です。貸主がこの取扱いを実際に守れる体制であることが前提です。
返却後に残っていたデータを、貸主は見てよいか:取得と利用目的の考え方
初期化の前に、残っているデータを貸主が確認したくなる場面があります。借主が「大事なデータが入っているかもしれない」と問い合わせてきたとき、貸出品に破損があり、原因を調べるために中身を見たいとき、などです。
個人情報保護法は、個人情報を取り扱うにあたって、利用の目的をできる限り特定すること(17条1項)、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱わないこと(18条1項)を求めています。また、個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人に通知し、または公表しなければなりません(21条1項)。契約書その他の書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を取得するときは、あらかじめ利用目的を明示する必要があります(21条2項)。
返却品に残っていた借主のデータは、貸主から見ると、借主が貸出品に入れたものを返却によって手元に置くことになります。これを貸主が閲覧して利用すれば、個人情報を取り扱う行為になり得ます。残っているデータには、借主の情報だけでなく、写真に写った人や連絡先に載った人など、借主以外の第三者の情報も含まれます。このため、規約では、閲覧しない・利用しないことを原則とし、例外として閲覧する場合の条件(目的、範囲、記録)を先に決めておくのが、扱いやすい形です。
書き方の例(一般的な例) 返却品のデータの取扱い
貸主による閲覧
理由「確認のため」という目的は広すぎます。閲覧の目的と範囲を特定し、借主の同意を条件にすると、取扱いが目的の範囲内に収まります。
消去の時期
理由残っているデータを持ち続けると、漏えいの危険を伸ばします。消去の時期を決めておくことが、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去する努力義務(個人情報保護法22条)にも沿います。
確認の問いデータの取扱いを書く前に
貸出品には、借主が自分のデータを保存できますか。それは、貸出品の通常の使い方の中に含まれますか。
保存できる貸出品なら、返却時のデータの消去は必須の規定です。保存できないよう設計できるなら、その設計が最も確実な対策です。
貸主が貸出品を初期化するとき、借主のデータが消えることに、借主が事前に同意していますか。
同意がないと、借主から「大事なデータを消された」という苦情が出ます。初期化による消去の同意を、規約に書くか、申込み画面で表示します。
返却後に残っていたデータを、貸主はどの場面なら見てよいと決めていますか。
決めていなければ、現場の担当者が個人の判断で見てしまいます。閲覧の場面を限定するか、一切見ないと決めます。
消去したことを、借主に知らせる手段がありますか。
消去の完了を知らせると、借主の不安が減り、後の問い合わせが減ります。
位置情報(GPS)で貸出品を管理するとき:目的の特定、事前の明示、取得の範囲を決める
貸出品に位置を知らせる装置を付ける、または貸出品自体が位置を記録できる機能をもっている場合、貸主は紛失・盗難・延滞に備えて位置を確認できます。ところが、位置の記録は、借主の行動の記録でもあります。何のために、いつの間だけ、どの精度で取るのかを決めないまま運用すると、個人情報保護法の問題に加えて、借主のプライバシーを侵害したと主張されるおそれがあります(民法709条)。
位置の記録が個人情報に当たるかどうかは、その記録だけでは誰か分からなくても、貸出台帳と照合すれば誰が借りているか分かる状態になっているかで変わります。個人情報とは、他の情報と容易に照合することで特定の個人を識別できるものも含みます(個人情報保護法2条1項1号)。貸出品の番号と位置の記録を、借主の申込み情報と照らして確認できる運用であれば、借主の個人情報として扱うのが安全です。
位置情報の取得の方法と、規約に書くこと
| 取得の方法 | 典型的な場面 | 規約に書くこと |
|---|---|---|
| 常時取得し、画面で確認できる | 高価な貸出品を貸すとき、盗難に備える | 取得する期間(貸出期間内に限る)、取得の頻度、確認する者の範囲、保存期間 |
| 延滞・紛失のときだけ、貸主が確認する | 期限を過ぎても返却されない、連絡がつかない | 確認する場面を限定し、借主への通知の方法と、確認した結果の利用範囲 |
| 借主の操作でのみ記録される | 借主が自分で位置を共有する機能を使う | 貸主が位置を見ないこと、借主が機能を切ったときの扱い |
| 位置情報を取らない | 貸出品に装置がない、または装置を使わない | 位置情報を取得しない旨を示す(取得しないことは安心材料になる) |
位置情報の利用目的を決めたら、申込みの前に、借主に分かる形で示します。個人情報保護法は、利用目的の特定(17条1項)と、取得したときの通知または公表(21条1項)を求めています。契約書などに記載された情報を直接取得するときは、あらかじめ明示します(同条2項)。位置情報は、端末から自動で取得するもので、書面に記載されるわけではありませんが、申込み画面で、位置を取得すること、目的、期間を示しておくと、取得前に借主へ知らせたことの記録が残ります。
規約例位置情報の取得に関する条項(個人向けの例)
- この規約において、貸出品を貸す者を「貸主」、借りる者を「借主」、貸し出す物を「貸出品」といいます。貸主は、貸出品の紛失、盗難、返却の遅れに備えるため、貸出期間中に限り、貸出品に備えた装置により貸出品の位置を取得することがあります。
- 貸主は、前項の位置の情報を、前項に定める目的以外の目的には利用しません。ただし、法令に基づく場合を除きます。
- 貸主は、貸出期間が終了し、貸出品が返却されたときは、位置の取得を停止します。
- 借主は、貸出期間中に、貸出品の位置を取得する装置を、取り外し、または機能を停止させてはなりません。
- 貸主は、第1項の位置の情報を、貸出品の返却を受けた日から一定の期間が経過したときに、消去します。
借主以外の人(家族や来客)の行動が貸出品の位置から推測されることもあります。位置を確認する者を限定し、取得する期間を貸出期間内に限る形が、取扱いを整理しやすい形です。
書き方の例(一般的な例) 位置情報の書き方
目的
理由「管理のため」は広すぎます。目的を特定すると、目的外の利用(借主の行動の把握など)を避けられます。
期間
理由保存期間を決めないと、不要になった個人データを持ち続けることになります。
利用履歴・本人確認書類の保管期間と安全管理:目的と期間を項目ごとに決め、漏えいの経路を押さえる
貸主は、申込みの記録、貸出と返却の履歴、本人確認書類の写し、連絡の履歴などを保管します。保管の目的は、請求、紛争の備え、貸出品の管理、法令上の対応などで、項目ごとに違います。個人情報保護法は、利用目的の達成に必要な範囲内で、個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを求めています(22条)。
保管する情報の例と、期間の考え方
| 保管する情報 | 保管の目的 | 期間の考え方 |
|---|---|---|
| 申込みの記録(氏名、連絡先、規約の同意の記録) | 契約の成立の証拠、連絡、請求 | 契約が終了し、精算が済んだ後も、請求や紛争の備えとして一定の期間。期間を規約またはプライバシーポリシーに示す |
| 貸出・返却の履歴、検品の記録(写真を含む) | 破損・紛失の請求の証拠 | 損害賠償の請求に期間の制限があること(返還を受けた時から1年以内。民法600条1項、622条)を踏まえ、その期間を含む一定の期間 |
| 本人確認書類の写し | 本人確認、申込みの真偽の確認 | 確認の目的が済んだ後は、保管の必要性を見直す。写しを持たず、確認した事実だけを記録する方法もある |
| 位置情報の記録 | 紛失・盗難・延滞の確認 | 返却後に消去する。保存するなら、目的と期間を示す |
| 問い合わせ・クレームの履歴 | 対応の継続、再発防止 | 対応が終わった後の一定の期間 |
検品の記録を長めに保管する理由は、貸出品の損傷に関する損害賠償の請求に期間の制限があるためです。この期間の数え方と、検品の方法はレンタル品を壊した・なくしたときで説明しています。一方で、検品の写真に借主や第三者の顔、住居の様子、貸出品に表示された画面が写り込むことがあります。検品の写真は、貸出品の状態を示す範囲に限って撮影し、保管の期間と閲覧できる者を決めておきます。
本人確認書類は、書類上に載った情報の範囲が広いため、写しを保管する場合は特に、アクセスできる者を限り、保管期間を短くします。確認だけで足りるなら、確認の方法と日時を記録して、写しを持たない運用が、漏えいの危険を減らします。別の法令で保存が定められている情報については、その法令の定めを確認したうえで、期間を決めます。
保管する以上、守る責任も生じます。個人情報取扱事業者は、取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければなりません(個人情報保護法23条)。レンタルの場面では、次のような経路で漏えいが起きます。
- 返却の発送中に、貸出品が紛失・盗難にあい、借主のデータが残ったまま第三者の手に渡る。
- 初期化を忘れた貸出品を、次の借主に貸してしまう。
- 貸主の側で保管している申込み情報や本人確認書類の写しが、不正に閲覧される。
- 位置情報の確認画面のログインが共有され、必要のない者にも見られる。
漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態で、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が必要になります(個人情報保護法26条)。どの事態が対象になるかは、委員会規則と委員会の公表資料で確認が必要です。規約の側では、貸出品の紛失や、データの漏えいのおそれがあるときに、借主が貸主へ速やかに連絡する義務と、貸主の連絡先を書いておきます。連絡が遅れるほど、被害の範囲が広がるためです。
返却から初期化・次の貸出までの流れ
- 返却の受領返却された日時と状態を記録し、返却を確認した旨を借主に知らせる。
- データの確認(最小限)初期化できる状態か(画面ロック、アカウントの紐づけ)を確認する。中身の閲覧はしない。
- 初期化初期化を実施し、完了を記録する。初期化できないときは、借主に連絡して解除を求める。
- 検品外観・機能・付属品を確認して記録する。損傷があれば、写真を残す。
- 再貸出の前の点検初期化済みの貸出品であることを確認して、次の借主に貸す。
貸主が初期化と検品を分けて記録すると、後で「データが残っていた」「消されて困った」と言われたときの確認が容易になります。
データが残っていた、消えた:責任の分担と免責条項の限界
データをめぐる揉めごとは、大きく二つに分かれます。借主のデータが貸出品に残っていた(流出のおそれがある)場合と、貸主の初期化などで借主のデータが消えてしまった場合です。
規約では、借主がバックアップを取る責任をもつこと、貸主が初期化によって消去することを、前もって示します。ただし、借主が消費者の場合、貸主の債務不履行によって借主に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項により無効とされ、貸主の故意または重大な過失による場合の一部免除も同様です。「貸主は、いかなる理由があっても、データの消失・漏えいに責任を負わない」という書き方は、この規定に照らして問題になります。責任の範囲は、貸主の過失の程度や、借主が行うべきバックアップを怠ったかどうかなど、原因ごとに分けて書く必要があります。
規約・運用の確認項目
- 返却前のデータ消去とアカウントのサインアウトを、借主の義務として書いたか。
- 貸主の初期化と、初期化によりデータが消えることへの借主の同意を書いたか。
- 貸主が初期化に必要な範囲を超えて、データを見ない・利用しないと決めたか。
- 位置情報を取る場合に、目的、期間、確認する者、保存期間を決め、申込みの前に示したか。
- 申込みの記録、本人確認書類の写し、位置情報、検品の記録について、保管の目的と期間を決めたか。
- 貸出品の紛失・データの漏えいのおそれがあるときの連絡先と連絡の期限を、借主に示したか。
よくある落とし穴
- 返却品のデータを「確認のため」に自由に閲覧できる、と書いてしまう。
- 位置情報を取っていることを、規約の奥にしか書いていない。
- 本人確認書類の写しを、目的が済んだ後も無期限に持ち続ける。
- データの消失・漏えいについて、貸主は一切責任を負わないと書く。
起きがちなこと:データは、返却のとき、貸出のとき、紛失のときに問題になる
場面別に見るデータ・位置情報の問題
場面返却された端末に、アカウントの紐づけが残っていた
起きがちなこと貸主が初期化できず、次の貸出ができない。借主と連絡が取れず、解除を頼めない。
規約で手当てすること紐づけの解除を借主の義務とし、貸主が解除を求める期限と、応じないときの費用、保管の扱いを書く。
場面返却されたカメラに、前の借主の写真が残っていた
起きがちなこと次の借主が写真を見てしまった。貸主の初期化の記録がなく、原因が分からない。
規約で手当てすること貸主が初期化と検品を分けて記録する。次の貸出の前の点検を、手順に入れる。
場面位置情報の確認を、貸出期間の終了後も続けていた
起きがちなこと借主が返却後も位置が見られていると知り、苦情になる。
規約で手当てすること位置の取得を、貸出期間内に限り、返却で停止すると書く。停止した日を記録する。
場面返却の発送中に、貸出品が行方不明になった
起きがちなこと貸出品にデータが残ったままで、流出のおそれがある。
規約で手当てすること借主のデータ消去を返却前の義務とし、行方不明になったときの連絡と、貸主の対応の手順を決める。
よくあるご質問
返却されたスマートフォンに借主の写真が残っていたら、貸主は見てもよいですか。
貸主が借主のデータを閲覧して利用すれば、個人情報の取扱いになり得ます。個人情報保護法は、利用目的をできる限り特定し(17条1項)、本人の同意なく目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱わないこと(18条1項)を求めています。規約では、初期化に必要な範囲を超えて閲覧しないことを原則とし、閲覧する場合の目的、範囲、同意の取り方を決めておくのが無理のない形です。
貸出品にGPSを付けて、位置を確認してもよいですか。
位置の確認自体を禁じる一般的な規定があるわけではありませんが、位置の記録が貸出台帳と照合して借主を識別できる状態であれば、借主の個人情報として扱うのが安全です(個人情報保護法2条1項1号)。利用目的の特定(17条1項)と、取得したときの通知または公表(21条1項)が必要になります。規約や申込み画面で、目的、期間、確認する場面を、取得の前に示します。貸出期間の外まで位置を取ると、借主のプライバシーを侵害したと主張されるおそれがあります。
本人確認書類の写しは、いつまで持っていてよいのですか。
期間を直接定めた一般的な規定はありません。個人情報保護法は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めています(22条)。確認が済んだ後は、保管の必要性を見直します。確認だけで足りるなら、確認した事実と日時を記録して、写しは持たない運用も考えられます。別の法令が保存を定めているときは、その法令を確認します。
返却前にデータを消すのを忘れた借主が、データが消えたと苦情を言ってきた場合、貸主の責任はありますか。
規約で、借主が自分のデータを返却前に消去し、バックアップを取る責任をもつこと、貸主の初期化により残っているデータが消えることを示し、借主が同意しているなら、貸主の責任は限られると考えられます。ただし、借主が消費者の場合、貸主の責任の全部を免除する条項や、貸主の故意または重大な過失による場合の責任を一部でも免除する条項は、消費者契約法8条により無効です。
貸出品から借主のデータが漏れたとき、貸主はどうすればよいですか。
個人データの漏えい、滅失、毀損その他の安全の確保に係る事態で、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります(個人情報保護法26条)。どの事態が対象になるかは、委員会規則と委員会の公表資料で確認が必要です。規約には、借主が貸主へ速やかに連絡する義務を書いておきます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、貸し出す物の種類、契約の内容、借りる方が消費者か事業者かによって異なることがあります。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 国民生活センター / 個人情報保護委員会